2017年8月21日 アメリカ皆既日食の概要

いよいよ天文ファン、皆既日食ファンが待ち望んだアメリカ皆既日食まで、あと四ヶ月あまりとなりました。
今回のアメリカでの皆既日食ですが、日の出と共に月はその影を北太平洋上に落として始まります。その後月の影は東へと進み、アメリカ西海岸のオレゴン州リンカーンシティの町で上陸します。その後アイダホ州、ワイオミング州、ネブラスカ州、カンザス州を通過し、ミズーリ州の東部では最大の2分40秒の皆既となります、その後はイリノイ州、ケンタッキー州、テネシー州、ノースカロライナ州、ジョージア州、そしてサウスカロライナ州を通過して、北大西洋へと抜けてゆきます。
このように、今回の皆既日食はアメリカを見事に横断するのです。

[皆既帯の地図]

皆既帯の地図

今回の皆既日食の特徴を簡単に述べますと、 ■行きやすい場所で起きる 皆既日食は、多くの場合行きにくい場所でおきます。それは洋上であったり、砂漠やジャングル、山岳地帯など、街から離れたところです。また日本から遠ければその分、時間も旅費もかかることになります。地球上で環境の良い場所は、それだけ少ないとも言えるでしょう。今回の皆既日食はアメリカというとても行きやすい国で、しかもアメリカを横断するように皆既日食帯が伸びています。大都市こそ通らないものの、多くの小さな町を通過するため、とても行きやすいのです。
ちなみに、今回の皆既日食を逃すと、しばらく行きやすい場所での皆既日食がありません。 ■晴天率が高い 今回の皆既日食帯が通る地域の中で、特に西部は晴天率が高いです。

[雲量のグラフ]

(1) 8月の雲量(上は午前中、下は午後)

雲量のグラフ

(2) 8月の雲量グラフ

8月の雲量グラフ

前回の皆既日食は2016年3月にインドネシアの島々で起きましたが、場所によってかなり大きく明暗が分かれてしまいました。
天候は皆既日食観測において、最大の心配事ですが、残念ながら地球上に必ず晴れる場所と言うものは存在しません。今回の皆既日食の大きな特徴として、行きやすい上に晴天率の高い地域を通る、ということが挙げられます。それだけでもまたとない機会と言えそうです。

■夏休み中に起きる8月21日と言えば、夏休みの最中です。学校はもちろんですが、企業でも休みやすい時期となります。これまでなかなか一家そろって日食ツアーに参加できなかった方にとっては、絶好のチャンスとなるでしょう。
反面、旅費は高くなってしまいます。これは止むを得ないことですが、PTSのツアーではあえて観光を少なめにし、リーズナブルな価格設定を目指しています。わざわざ高い旅費をさらに高くしてまで観光をたくさん付けず、観光は観光だけでもっと安い時期に行くというのも手だと考えています。

■比較的高い高度で皆既日食が起きる皆既になる時に、太陽高度が低いとそれだけ観測場所の選定が難しくなり、雲に阻まれる可能性が高くなります。今回の皆既日食は比較的高い高度で皆既となりますので、そういった心配事が少なくなります。
また、重い機材をかついでバスに乗り、現地で組み立てて観察するのは大変ですし、ホテルに忘れ物をしてしまう可能性もあります。もし低空の視界を気にしなければ、宿泊するホテルの敷地内で観察することも充分可能です。

■皆既の時間が比較的短い 今回の皆既日食は、最も長く皆既の状態が見られるミズーリ州でも2分40秒ほどと、比較的皆既の時間が短い皆既日食となります。しかし、皆既の短い皆既日食は、太陽と月の見かけの大きさが近いために、皆既の時にプロミネンスが見えやすいという大きな利点もあるのです。太陽の全周にプロミネンスが出ている皆既日食に期待したいです。
また撮影したビデオを後日人に見せるさい、3分以内というのは飽きられなくて良い時間かもしれません。実際に皆既日食を体験していると、3分はそれこそアッという間ですが、後日じっくり映像を眺めてみると、けっこうな時間に感じられるものです。
このように、今回の皆既日食を逃すと、これほど好条件の揃う皆既日食はしばらくありません。ぜひ、参加をご検討いただければと思います。

PTSの観測地情報

それでは、PTSの観測ポイントについてご説明しましょう。PTSのツアーは2箇所に遠征いたします。

リバートンの公園(予定)(対象ツアー:Riverton【A】【B】【C】コース)

1つめの遠征地は、内陸にある小さな町・リバートンです。リバートンへの移動時間は、デンバーの空港から約500kmとややかかりますが、晴天率それも午前中の晴天率は今回の皆既帯の中でも有数の高さを誇ります。さらに、リバートンの標高は1500mm以上あり、晴天率の高さと相まってクリアなコロナが期待できます。
リバートンの町は皆既帯の中心線からやや南にずれていますが、それでも皆既時間は2分14秒あり、中心線上の2分23秒と較べても決して条件は悪くありません。観測予定地は町の中にある視界の良い公園です。ここでの皆既日食の条件は表2のとおりです。しかし、どうしても中心線付近で観測したいという方もいらっしゃることでしょう。中心線付近での観測を希望される方に、ただいま別途オプションを検討しています。
また、もしかしたら公園まで行かず、ホテルで観測したいという方もいらっしゃることでしょう。リバートンでの皆既時の太陽高度は52°あるため、ホテルの敷地内でも充分観測可能です。

【表1.リバートン・公園での日食条件】
  時刻(UT:世界時) 高度(°) 方位(°)  
第一接触(欠け始め) 16:19:28.5 40.7 115.6
第二接触(皆既の始まり) 17:38:57.8 52.3 138.5
食の最大 17:40:04.9 52.5 138.9 皆既継続時間2分14.4秒
第三接触(皆既の終わり) 17:41:12.2 52.6 139.3
第四接触(欠け終わり) 19:05:15.5 51.0 174.6

[リバートンでの日食進行(イメージ)]

リバートンでの日食進行(イメージ)

※各日食のデータは、エクリプスナビゲータVer2.5(アストロアーツ社、平均月縁によるシミュレーション)で算出されています。

[観測地(イメージ)]

リバートン観測候補地

11時頃の太陽イメージ

セイラム、ワイナリーの丘(予定)(対象ツアー:Salem【D】【E】コース)

2つめの遠征地セイラムはアメリカ西海岸の都市、ポートランドから50Kmほど南下したところにある町です。他の観測ポイントと較べると移動時間が短くて済むために、比較的手軽に遠征できる場所です。
セイラムでは朝、比較的太陽高度が低いうちに皆既日食を迎えることになりますが、それでも太陽高度は40°ほどあり、充分な高さと言えるでしょう。中心線上での皆既時間はまた皆既の時間は2分0秒となります。
セイラムの観測ポイントは、町外れのワイナリーにある丘の上です。皆既帯中心線から僅かに北に位置していますが、中心線との皆既時間の違いは僅か0.5秒ほどしかありません。
ここでは東側の視界が見事に開らけており、皆既日食時のオレンジ色に染まった低空が見事に見られることでしょう。皆既日食の条件は表2のとおりです。
もしかしたら、海に近いために朝霧が発生しやすいのでは?と考える方もいるかもしれません。実はセイラムの西側には低い山脈があり、その西側は確かにその傾向があります。しかしセイラムでの影響は少なく、さらに丘の上は影響が出にくいと考えられます。

【表2.セイラム・ワイナリーの丘での日食条件】
時刻(UT:世界時) 高度(°) 方位(°)
第一接触(欠け始め) 16:05:17.1 27.8 101.2
第二接触(皆既の始まり) 17:17:10.5 39.8 116.8
食の最大 17:18:10.3 39.9 117.0 皆既継続時間1分59.9秒
第三接触(皆既の終わり) 17:19:10.4 40.1 117.2
第四接触(欠け終わり) 18:37:45.7 58.7 140.1

[セイラムでの日食進行(イメージ)]

セイラムでの日食進行(イメージ)

[セイラム観測候補地](2015年当時は工事中、2017年春整地完了予定)

セイラム観測候補地

※全てイメージです。ご旅行中に必ずしも同じ角度・高度・天候での風景をご覧いただけるとは限りませんのでご了承ください。

  • 資料
  • ・皆既帯の地図
  • ・晴天率のグラフ
  • ・晴天率の図(午前と午後)
  • ・セイラム、ワイナリーでの観測条件の表
  • ・セイラム、ワイナリーでの日食進行の図
  • ・リバートン、公園での観測条件の表
  • ・リバートン、公園での日食進行の図
  • ※日食のデータはエクリプスナビゲータVer2.5(アストロアーツ社、平均月縁によるシミュレーション)で算出
  • ※日食進行の図はステラナビゲータ10(アストロアーツ社)で作画
皆既日食ツアー アドバイザー 中西昭雄

皆既日食ツアー アドバイザー 中西昭雄

1964年東京オリンピックの年に、光学と印刷の町・東京都板橋区に生まれ育つ。メーカー勤務を経て1999年に(有)ナカニシイメージラボを設立。微弱光撮影装置のエンジニアであり天体写真家。20〜21等級の小惑星を4つ発見している新天体捜索家でもある。
主な著書に「メシエ天体ビジュアルガイド」「デジタルカメラによる天体写真の写し方」(誠文堂新光社)、「光る星座図 鑑」「月のかがく」「金環日食観測ノート」(旬報社)、「よむプラネタリウム・夏の星座解説」(アリス館)など多数。
また天体観測ツアーのコーディネートも多数おこなっており、皆既日食は今度で15回目の遠征となる。

(有)ナカニシイメージラボ
Website http://www.nakanishi-i-l.com/

皆既日食ツアー アドバイザー 谷川清隆

皆既日食ツアー アドバイザー 谷川清隆

1974年東京大学大学院博士課程満期退学。
1978〜1988緯度観測所研究員、その後国立天文台助教授を経て、2007年定年
退職後に現職。
おもな研究分野は歴史天文学、三体問題、カオス、古代史。
歴史天文学では長期地球自転変動曲線の導出を目指している。
著書は『馬蹄への道』(共立出版、共著、2016)、The Three-Body Problem from Pythagoras to Hawking (Springer, 共著、2016)。
訳書は『力学系入門』(共立出版、スメール、ハーシュ、ドベイニー著、共訳、2007)ほか。
おもな歴史論文は、「七世紀の日本天文学」、「白村江を戦った倭人」など多数

<お問い合わせ・ご予約>
皆既日食ツアー お問合せ 株式会社PTS 天文観測デスク 03-5950-5921